「また、あの設備が突然止まった」——生産の真っ最中に故障で停止すると、納期にも品質にも大きく響きます。中小製造業では保全に割ける人手も限られ、「壊れてから直す」の繰り返しになりがちです。そこで注目されるのが予知保全ですが、言葉が先行して「何から手をつければいいか分からない」という声もよく聞きます。この記事では、予知保全とは何かを整理したうえで、私たちが2020年頃から取り組んできた稼働の見える化・画像認識の経験をふまえ、現実的な進め方を正直にお伝えします。
「予知保全」とは
設備保全のやり方は、大きく3つに分けられます。
- 事後保全(BM):壊れてから直す。突発停止が避けられず、ダウンタイムが読めない
- 予防保全(PM):時間や使用回数を基準に、定期的に部品交換・点検を行う。壊れる前に手を打てるが、まだ使える部品まで交換する「過剰保全」のムダが出やすい
- 予知保全(PdM):設備の状態(振動・温度・電流・音・画像など)を常に見て、劣化の兆候をつかんでから、必要なときだけ手を打つ
予知保全は、状態を判断のよりどころにする**状態基準保全(CBM)**とも呼ばれます。ねらいは、「壊れてから」でも「決まった時期に一律」でもなく、ちょうどよいタイミングで保全すること。突発停止のリスクと過剰交換のムダ、その両方を減らせるのが最大の価値です。
AI・デジタルで予知保全はこう変わる
設備の状態を人が四六時中見張るのは現実的ではありません。ここでデジタルとAIが効きます。
- 正常な状態を学習し、そこからの「ズレ」を検知する(異常検知):故障事例が少なくても、正常データを基準にすれば兆候をつかめる
- 劣化の傾向を捉える:温度や振動が少しずつ上がる、といったトレンドを可視化し、早めに気づく
- 画像で状態を捉える:摩耗・汚れ・ベルトのたわみなど、目に見える変化をカメラで記録・判定する
ただし正直にお伝えすると、「いつ壊れるか」を高い精度で言い当てる高度な故障予測は、十分なデータと時間を要します。過度な精度は約束できません。だからこそ、まず状態が見える状態をつくることが先決です。
取り組み方・ステップ(見える化から段階的に)
予知保全は、いきなり到達するゴールではなく、段階で近づくものです。
- 稼働を見える化する:まずは「動いている/止まっている」をカメラ映像などで記録する(ここは私たちが実際に取り組んできた領域です)
- 状態データを貯める:温度・振動などのセンサー、または画像で、正常なときの状態を蓄積する
- 異常検知を試す:正常からのズレを拾えるか、1台の設備で小さく検証する
- 予兆をつかんで保全につなげる:兆候が出たら点検・交換し、結果を記録して精度を育てる
大事なのは、1台・1つの故障モードから始めること。データが貯まるほど、予測は現実味を帯びてきます。
つまずきやすいポイント
- データがないまま予測を求める:正常データすら貯まっていない現場が多い。まず記録から
- いきなり「壊れる日」を当てにいく:残存寿命の予測は最終形。まずは異常の早期発見だけでも大きな価値がある
- センサーを付けること自体が目的化:何のロスを減らすのか、目的を先に決める
- 現場が数字を見ない:状態は現場が一目で分かる形にして初めて活きる(デザインは私たちの得意分野です)
まとめ
- 予知保全は「状態を見て、ちょうどよいタイミングで手を打つ」保全
- 事後保全・予防保全の弱点(突発停止・過剰交換)を、両方減らせる
- AIは正常からのズレを捉える異常検知が現実的な入り口。高度な故障予測は段階的に
- まず稼働・状態の見える化から。1台・1故障で小さく始める
まずはご相談ください
「センサーが要るのか、いまのカメラで足りるのか」——御社の設備に合わせて、できること・できないことを正直にお伝えします。まずはお気軽にご相談ください。私たちのAIへの取り組みや伴走事例も、あわせてご覧いただけます。