「不良を止めるのは、最後の検査工程」——そう捉えている現場は少なくありません。もちろん検査は大切ですが、品質管理(QC)はそれだけではありません。この記事では、品質管理(QC)とは何かを整理したうえで、私たちが2020年頃から取り組んできた画像認識・外観検査の経験をふまえ、AIが品質にどう効くのかを、過度な期待を煽らず解説します。
「品質管理(QC)」とは
品質管理(QC:Quality Control)とは、製品の品質を一定に保ち、ばらつきを抑える活動の総称です。ポイントは、検査(できあがった物の合否判定)だけを指すのではないこと。むしろ本質は、工程の中で品質を作り込むことにあります。
品質を左右する要因は、よく4M(Man 人・Machine 機械・Material 材料・Method 方法)で整理されます。この4Mがばらつくと、製品の品質もばらつきます。だからQCでは、
- 検査:不良を後工程・客先に流さない(流出防止)
- 工程管理:4Mを安定させ、そもそも不良を出さない(発生防止)
の両輪で考えます。統計的品質管理(SQC)で管理図を使い、ばらつきの異常を早く捉えるのも、この発生防止の発想です。検査で止めるより、そもそも作らない方が安い——これがQCの根っこにある考え方です。
AI・画像認識で品質管理はこう変わる
私たちが実際に取り組んできた画像認識は、この両輪の両方を支えられます。
- 外観検査の一次判定:キズ・欠け・付着などを画像で拾い、人の負担を軽くする(最終判断は人が担う役割分担が現実的)
- 判定基準のばらつきを抑える:人・時間帯で変わりやすい基準を補う
- 記録をデータとして残す:どの品を、どう判定したかを蓄積する
そして見落とされがちですが、いちばん効くのは3つ目の記録です。検査結果がデータで貯まれば、「どの不良が・いつ・どの条件で増えるか」を分析でき、工程の作り込み(発生防止)にフィードバックできます。検査を自動化して終わりではなく、そこで得たデータを改善に回す——ここにAIの本当の価値があります。なお、外観検査の精度は品目や不良の種類に大きく左右されるため、過度な精度保証はいたしません。
取り組み方・ステップ(1品種・1不良から)
- 狙いを1つに絞る:まず1品種・1種類の不良から
- 良品・不良品の画像を集める:AIに学ばせる材料を用意する(不良品の画像は特に貴重)
- 一次判定を試し、人の判断と突き合わせる:得意・不得意を見極める
- 記録を工程改善へつなげる:不良の傾向を分析し、発生防止に活かす
つまずきやすいポイント
- QC=検査だと捉える:検査は流出防止。発生防止(工程の作り込み)とセットで考える
- AIに完璧を求める:万能ではない。人との役割分担を前提に組む
- 記録を貯めて終わり:分析して改善に回さなければ、データは活きない
- 現場が使いづらい:判定結果は一目で分かる形に(デザインは私たちの得意分野です)
まとめ
- 品質管理は「検査」だけでなく「工程での作り込み」まで含む
- 本質はばらつきを抑え、そもそも不良を発生させないこと
- AI・画像認識は外観検査を支え、記録を改善に回すところにこそ価値がある
- 1品種・1不良から小さく、過度な精度は期待しすぎない
まずはご相談ください
「うちの不良は、そもそもAIで拾えそうか」の見極めから、御社の品目に合わせて一緒に考えます。まずはお気軽にご相談ください。私たちのAIへの取り組みや伴走事例も、あわせてご覧ください。